診療科目

生活習慣病外来

メタボリックシンドロームをはじめ、肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症(脂質異常症)、痛風(高尿酸血症)など生活習慣が起因として起きる「生活習慣病」のあらゆる疾患・症状に対して診療いたします。
受診の際には必ずお電話でご予約の上、保険証と各種医療証をご持参ください。

<メタボリックシンドローム>

メタボリックシンドロームとは、単に腹囲が大きいだけではなく、内蔵肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態のことを指します。

近年、日本人にも肥満の人が増えてきていますが、肥満のうちでもおなかに脂肪がたまる内臓脂肪型肥満(内臓脂肪蓄積)が動脈硬化を進行させる原因のひとつであることがわかってきました。内臓脂肪蓄積があれば、糖尿病や高脂血症・高血圧などがおこりやすくなり、これらが重複する数が多くなるほど、病気リスクが高まります。 メタボリックシンドロームは、血圧・血糖・脂質の値が治療を要するほど高値でなくても動脈硬化が進行しやすい状態なので、これらの値が異常になる前から生活改善を心がけて、動脈硬化の進行にブレーキをかけ、生活習慣病を未然に防ごうというのが、メタボリックシンドロームへの基本的な考え方です。

<肥満症>

肥満症とは様々な要因で内臓脂肪が過剰に蓄積した状態で、減量治療を必要とする病態のことです。肥満は疾患ではありませんが、肥満症は疾患であり、医学的に治療が必要となります。

肥満症の治療は肥満を解消すること、つまり減量が基本です。食生活や運動など生活の基本的なあらゆることを見直すことから始まります。患者さまの状態に応じて投薬治療法なども組み合わせて減量を進める場合もあります。

肥満の解消と並行して、肥満による健康への悪影響なくすための治療も必要です。具体的には、肥満でかつ血糖値が高いという状態では、減量が成功すると血糖値も下がることが多いのですが、血糖値が十分に下がらない場合にはそれを下げる治療などを行います。

<糖尿病>

糖尿病は主に2種類あり「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があります。特に2型糖尿病は全糖尿病患者の9割以上を占めます。一般的に糖尿病という場合、2型糖尿病を指します。 1型糖尿病は、インスリンを合成・分泌するβ細胞が破壊、もしくは消失してインスリン不足に陥る病気で、自己免疫疾患、ウイルス感染などが原因で、小児から思春期に発症するケースが多いものです。

2型糖尿病になる原因は遺伝のほか、運動不足や食べすぎといった生活習慣によって引き起こされるケースがほとんどです。またその要因は特に肥満が発症に大きな影響を与えています。発症は40歳以上で多いですが、近年は若年者でも増加傾向にあります。ただし2型糖尿病は、治療によって進行を遅らせることが可能です。治療の基本は食事療法、運動療法、薬物療法等となります。

<高血圧症>

高血圧症とは、血管の中を流れる血液の圧力が強くなり続け、血圧値が高い病態ことを指します。偶発的に測った血圧が高い場合は、単に血圧が高いと表現できますが、この場合は「高血圧症」とは診断できません。高血圧症は、くり返して測っても血圧が正常より高い場合をいいます。くり返し測った測定で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断されます。進行すると血管壁の弾力性やしなやかさが失われ、また血管壁に傷が生じて、その傷にLDLコレステロールなどが沈着すると動脈硬化が促進されます。

日本人の高血圧の最大の原因は、塩分の過剰摂取だと言われています。若年・中年の男性では、肥満が原因の高血圧も増えています。飲酒・運動不足も高血圧の原因です。

高血圧症の予防には、塩分摂取量の制限が重要です。1日の塩分摂取量は7~10g程度が目安なので、薄味にして、調味料は極力控えることが望ましいです。血管を丈夫にするために、たんぱく質・カルシウムを積極的に摂取することも大切です。

高血圧症の治療には上記生活習慣の改善と共に投薬治療等も組み合わせて進めていくことになります。

<高脂血症(脂質異常症)>

高脂血症(脂質異常症)は、血清脂質値が異常値を示す病態です。血清脂質値とは、血液の中の脂肪分の濃度のこと。血液の中の脂肪分はいくつかのタイプに分けられ、健康な人は、LDL-コレステロールが140mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dL未満です。この三つの値のいずれかがその範囲を超えた状態が、高脂血症(脂質異常症)です。

通常は血清脂質値が異常でも症状は現れません。症状が現れない間に、全身の血管が傷めつけられ、動脈硬化へつながります。動脈硬化が進むと、心臓や脳などの血液の流れが悪くなり、ある日突然、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの発作が起き、命の危険にさらされることになります。

脂質異常症と指摘されたら、心臓や脳の発作を起こさないためにも、血清脂質値(とくに悪玉のLDL-コレステロール)に気をつけながら日常生活の食事や運動療法が必要となります。当院では投薬療法を中心に行いますが、本年度中を目処に高脂血液浄化療法(LDLアフェレーシス療法)を導入予定です。患者さまご自身の血液を特別な機械を用いて体外とで循環させながら、LDLコレステロールのみを取り除きご自身の体に血液を戻す直接的な治療法です。

<痛風(高尿酸値症)>

痛風(高尿酸値症)は血液中の尿酸値が高い病態を指します。血液の尿酸値は7.0mg/dL以下なら正常で、7.0mg/dL以上で高尿酸血症とされています。この数値は血液中に溶ける尿酸の量(飽和溶解度)から算出しており、男女共通ですが、平均的な尿酸値は、女性より男性の方が高い傾向にあり、痛風になられる方は男性の方が多いです。痛風の発作は、血中に増えた尿酸がたまり結晶となって激しい関節炎を伴う症状になる病気です。その痛みは骨折したかのような痛みとも表現されることもある程です。

医学が進み、良い薬も開発されたため正しい治療を受ければ全く健康な生活が送れます。しかし、放置すると激しい関節の痛みを繰り返したり、体のあちこちに結節が出来たり、腎臓が悪くなったりする重大な病気でもあります。

お早めに受診と治療をお勧めしております。